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第十話 役割

Author: 文月 澪
last update Last Updated: 2025-12-08 08:48:17

 翌日。

 律は宣言通りにやってきた。

 昨日とそう変わらない出で立ちにリュックと竹刀袋を背負って。

 優斗も半ば諦め、準備をしていた。

 今日行く手塚も山中にある。

 だから、Tシャツに上着のパーカーを腰に結び、ジーンズ、履き慣れたスニーカーと山歩きを想定した格好だ。そこに竹刀袋を背負う。

「おぉ、やる気だね! 良かったよ〜、またごねられるかと思った」

 律は揶揄からかうように言うが、その目は真剣だ。優斗はわざと溜息を吐き、胡乱な目で見遣る。

「嫌だと言っても無理矢理連れて行く気だろ。それなら自分から行った方が精神的ダメージは少ないと思ってね」

 それは半分嘘で、半分本当だった。

 あれこれと悩んでいるうちに、昨日見た律の暗い瞳が脳裏を離れず、何か力になれないだろうかと考えるようになっていたのだ。人を守るのが自分の仕事だというのなら、律だってその中に入るのではないかと。

 そんな優斗の気持ちには気付かず、律はにこやかに笑っていた。

「うんうん。それがいいよ。じゃ、今日は優斗に祝詞を唱えてもらうから胸出して」

 そう言って札を手に取る。

「今日は僕が祝詞の役なのか?」

 Tシャツをたくし上げながら聞くと、律は頬を染めながらキャっと顔を逸らす。ジト目で眺めれば、「冗談冗談」と手を振った。

「今日は祝詞のテストだよ。それと俺の戦い方も見てもらおうと思って……ピンクだね。可愛い」

 そう言っていただきをちょんと触る。

 ぞわりと鳥肌が立ち、咄嗟に体を隠した。

「だから冗談だってば〜」

 キャッキャと笑う律に優斗は疑心の目を向ける。無言の圧力に流石に冗談が過ぎたと思ったのか、表情を引き締めると真面目腐った口調で宣言した。

「安心して。俺は女の子のおっぱいが大好きだから!」
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